クリエイターを守る法務と税務の安心ガイド
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はじめに:その知識が、あなたの創作活動を生涯守る

こんにちは、しずくです。

いつも私の発信をご覧いただき、ありがとうございます。

コンテンツビジネスで素晴らしいアイデアを形にし、情熱を注いでいるあなたへ。

今回は、少し堅いテーマに聞こえるかもしれませんが、あなたの創作活動を長期的に、そして安心して続けるために不可欠な「法務」と「税務」の基礎知識についてお話しします。

これらは、クリエイターにとって「守りの知識」です。

しかし、この守りを固めることで、あなたは余計な不安から解放され、より大胆に「攻めの創作活動」に集中できるようになります。

「知らなかった」では済まされない落とし穴を避け、信頼されるクリエイターとして羽ばたくための、大切な羅針盤となるはずです。

※【最重要:免責事項】※
本記事は、コンテンツビジネスに関連する法務・税務の基本的な情報提供を目的としています。

私は法律および税務の専門家ではありません。

この記事の情報は、一般的な知識の整理に留め、具体的な判断や手続きを行う際には、必ず弁護士、税理士、または管轄の行政機関などの専門家にご相談ください。

本記事の内容に基づくいかなる行動によって生じた損害についても、一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

第1部:信頼の礎となる「法務」の基礎知識

法律は、私たちを縛るものではなく、公正な取引を守り、クリエイターの権利を保護するためのルールです。

ここでは、コンテンツ販売において特に重要となる3つの法律、「特定商取引法」「著作権法」「景品表示法」について、基本のキを解説します。

特定商取引法:あなたの「顔」を見せる義務

特定商取引法に基づく表記(特商法表記)とは?

インターネットで商品やサービスを販売する事業者に対して、消費者保護のために、事業者の氏名、住所、連絡先などの表示を義務付ける法律です。

これは、お客様が安心して取引できるための最低限のルールであり、あなたの信頼性を示す「名刺」のようなものです。

Brainのようなプラットフォームを利用していても、販売者であるあなた自身が表示義務を負うことになります。

Brain販売で記載すべき主な項目

具体的には、販売ページのしかるべき場所に、以下の情報を記載する必要があります。

・販売事業者名(本名または屋号)
・代表者名または責任者名(本名)
・所在地(現住所)
・電話番号
・メールアドレス
・販売価格、送料
・代金の支払時期、方法
・商品の引渡し時期
・返品に関する特約

これらの項目を正確に、そして分かりやすく表示することが求められます。

「省略可能」の注意点と信頼性

一部の項目は、「お客様から請求があった場合に遅滞なく提供する」旨を記載すれば、表示を省略できる場合があります。

しかし、個人で活動する場合、住所や電話番号の公開に抵抗がある方も多いでしょう。

その場合は、月額数百円から利用できるバーチャルオフィスの住所や、IP電話サービスを利用するのも一つの有効な手段です。

お客様の信頼を得て、長期的に活動するためには、省略よりも誠実な情報開示を心がけることをお勧めします。

著作権法:他者の創造物を尊重する心

基本原則:無断使用はNG

著作権とは、文章、画像、イラスト、音楽、動画など、人が創造した「著作物」を保護する権利です。

他人が作成したこれらの著作物を、許可なく自分のコンテンツ(Brain、ブログ、SNS投稿など)に利用することは、原則として著作権侵害にあたります。

「ネットに落ちていたから」「良い写真だったから」という安易な気持ちでの使用は、トラブルの原因となり得ます。

常に「これは誰が作ったものか?」と意識する癖をつけましょう。

「引用」の正しいルールを知る

他者の著作物を利用できる例外的なルールとして「引用」があります。

しかし、これには厳格な条件があります。

①引用部分が、自分のコンテンツの中で「従」の関係にあること(自分の文章が「主」)。

②引用部分が、カギ括弧などで明確に区別されていること。

③引用する必要性があること。

④出所(著者名、作品名、URLなど)が明記されていること。

これらの条件を満たさない安易なコピペは「引用」とは認められず、著作権侵害となる可能性が高いです。

フリー素材のライセンス確認を怠らない

コンテンツ制作において、写真やイラストのフリー素材サイトは非常に便利です。

しかし、「フリー」だからといって、何でも自由に使えるわけではありません。

素材ごとに「商用利用可能か」「クレジット表記は必要か」「加工は許可されているか」といった利用規約(ライセンス)が定められています。

利用する前には必ずライセンスを隅々まで確認し、ルールを遵守することが、トラブルを未然に防ぐ上で極めて重要です。

景品表示法:誠実さで読者の誤解を防ぐ

「必ず儲かる」はNGワード(優良誤認表示)

景品表示法は、消費者が良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。

商品やサービスの内容が、実際のものよりも著しく優れていると見せかける表示は「優良誤認表示」として禁止されています。

例えば、合理的な根拠なく「誰でも必ず月100万円稼げる」「このノウハウだけで絶対成功する」といった表現を使うことは、この法律に抵触する可能性が非常に高いです。

再現性には個人差があることを正直に伝えましょう。

価格表示の罠に注意(有利誤認表示)

実際よりも著しく有利な取引条件であると誤解させる表示は「有利誤認表示」として禁止されています。

例えば、根拠のない「通常価格10万円」を打ち出して、あたかも大幅に値引きされているかのように見せかける「二重価格表示」は、これに該当する可能性があります。

期間限定の割引を行う場合も、その期間や条件を明確に、そして正直に記載する必要があります。

不当な表示でお客様を釣るのではなく、コンテンツの本質的な価値で勝負しましょう。

第2部:創作活動を支える「税務」の基礎知識

コンテンツ販売で利益を得た場合、それは「所得」となり、所得税などの税金を納める義務が発生します。

税金の仕組みを正しく理解し、適切に申告・納税することは、社会的な信用を維持し、ペナルティを回避するために不可欠です。

あなたの売上は何所得?所得の種類を知る

会社員の場合:「事業所得」か「雑所得」か

会社員の方が副業としてBrain販売を行う場合、その所得は主に「事業所得」または「雑所得」のいずれかに分類されます。

非常に簡単に言えば、継続的・安定的に、ある程度の規模で収益を上げ、独立して行っている活動から得られる所得が「事業所得」。

それ以外の、一時的・偶発的な所得が「雑所得」と判断される傾向にあります。

事業所得として認められると、青色申告による税制上の優遇措置を受けられるなどのメリットがあります。

どちらにすべきか迷ったら

「事業所得」と「雑所得」の区分に、明確で絶対的な基準はありません。

その活動への力の入れ具合、費やしている時間、収益の安定性、帳簿書類の保存状況などを総合的に見て、実態に即して判断されます。

もしあなたが今後、コンテンツビジネスを本気で拡大していきたいと考えているのであれば、最初から「事業」として捉え、帳簿付けなどを行う「事業所得」を目指すのが良いでしょう。

判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談することをお勧めします。

確定申告はいつから必要?「〇〇万円の壁」

会社員の「年間所得20万円」の壁

会社員で、給与以外の所得(Brainの売上から経費を差し引いた金額)の合計が年間で20万円を超えた場合、原則として確定申告が必要です。

この「20万円」は、1月から12月までの1年間の合計所得で判断します。

「売上」ではなく「所得」である点に注意してください。

例えば、年間の売上が30万円でも、経費が15万円かかっていれば、所得は15万円となり、このルール上は申告不要となります。

(ただし、住民税の申告は別途必要です)

専業主婦・学生等の「年間所得48万円」の壁

給与所得がない専業主婦や学生などの場合、年間の合計所得金額が48万円以下であれば、基礎控除により所得税はかからず、確定申告も原則不要です。

この「48万円」も、売上から経費を引いた金額です。

ただし、配偶者の扶養に入っている場合、あなたの所得が一定額を超えると、配偶者の税金に影響が出る(配偶者控除が受けられなくなる)可能性があるので注意が必要です。

これだけは押さえたい「経費」の話

経費にできるものの具体例

経費とは、売上を得るために直接必要となった費用のことです。

これをきちんと計上することで、課税対象となる所得を減らし、節税に繋がります。

コンテンツビジネスにおける経費の例としては、以下のようなものが考えられます。

・PCやスマートフォン、マイクなどの購入費
・インターネット通信費、サーバー代
・コンテンツ制作のための書籍代、資料代
・情報収集のために購入した他の人のBrainや教材代
・外注費(デザイン、ライティングなど)
・広告宣伝費

領収書・レシートの保管は絶対!

経費として計上するためには、その支払いを証明する書類(領収書、レシート、クレジットカードの明細など)の保管が法律で義務付けられています。

白色申告の場合は5年間、青色申告の場合は原則7年間の保管が必要です。

月ごとに封筒にまとめるなど、自分なりに整理しやすい方法で、必ず保管しておきましょう。

これが、あなたの主張を裏付ける唯一の証拠となります。

自宅で作業する場合の「家事按分」

自宅を事務所として利用している場合、家賃や水道光熱費、通信費などの一部を経費として計上できます。

これを「家事按分」と言います。

例えば、家賃10万円の家の一部屋(床面積の20%)を仕事専用で使っているなら、家賃の20%である2万円を毎月経費として計上する、といった考え方です。

どのくらいの割合を経費にするかは、事業で使っている時間や面積など、合理的な基準で自分で設定する必要があります。

まとめ:知識の鎧をまとい、創造の旅へ

法務と税務。

この二つのテーマは、一見するとクリエイティブな活動とは対極にあるように思えるかもしれません。

しかし、これらはあなたの活動と生活を守り、持続可能なクリエイター生命を支える、まさしく「鎧」のような存在です。

今日お話ししたことは、広大な法務・税務の世界の、ほんの入り口に過ぎません。

大切なのは、完璧に全てを暗記することではなく、「こういうルールがあるんだな」「こういうリスクがあるんだな」という意識を持つことです。

その意識があれば、怪しい儲け話に騙されることも、意図せず法律を破ってしまうことも、未然に防ぐことができます。

そして、少しでも分からないこと、不安なことがあれば、決して一人で抱え込まず、専門家の力を借りることをためらわないでください。

正しい知識という鎧をまとい、余計な不安を取り除き、あなたが持つ素晴らしい創造性を、これからも存分に発揮し続けていくことを心から応援しています。

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